通称・MoMAと呼ばれているニューヨーク近代美術館。1929年、3人の女性によりオープンしたこの美術館は、2004年、日本人建築家・谷口吉生氏の設計により、リニューアルオープンしました。
約15万点という収蔵数を誇るMoMAは、世界の中でも近代美術と現代美術のコレクションが充実していることで知られています。つい先頃、日本の携帯絵文字が展示されることでも話題になりましたよ。
MoMAのピカソ・コレクションの中で特に知られているのは『アヴィニョンの娘たち』です。
Loving this year’s #Halloween pumpkin! An interpretation of Pablo Picasso’s “Les Demoiselles d’Avignon.” Thank you @maniacpumpkins! pic.twitter.com/vn7mWIQEVj
— Museum of Modern Art (@MuseumModernArt) 2016年10月31日
この作品は1907年、パリ・モンマルトルにあった洗濯船というアトリエで制作された作品で、フランスのアヴィニョンではなく、バルセロナにあったアヴィニョ(フランス語の発音でアヴィニョン)という娼婦街の女性たちをモデルにした作品です。
ピカソ(picasso)のばら色の時代からの転換期に描かれた作品で、ばら色の時代の明るい色調を残しつつも、キュビスムとアフリカ仮面彫刻の影響を受けた作品となっています。また、この作品がきっかけで、立体をいろんな角度から見て平面で表現するキュビスムの手法が広がりました。
『アヴィニョンの娘たち』は描かれた当初、現在ではキュビスムの作家として名を知られるブラックやマティスなどから批判を受け、約20年、アトリエの中で放置されていたようです。
それを、シュールリアリストの詩人ルイ・アラゴンやアンドレ・ブルトンが発見したため、一躍日の目を浴びるようになりました。
見る者の感情を波立たせるこの絵は、ピカソがピカソらしくなった原点の作品とも言えるかもしれません。
MoMAには『アヴィニョンの娘たち』以外にも、分析的キュビスム時代の作品『わたしのかわいい人』、総合的キュビスム時代の作品『トランプ遊びをする人』、『アルルカン』、『三人の音楽家たち』。
そしてピカソが、
「これは絵画ですか?彫刻ですか?」
と聞かれ、
「ギターだ!」
と答えたと言われる、総合的キュビスム時代の立体作品『ギター』などキュビスムの作品が多く収蔵されています。
他にも、マリー・テレーズを描いたシュールレアリスム時代の作品『鏡の前の少女』、以前MoMAに展示されていた『ゲルニカ』の着想のもととなった版画『ミノタウロマキア』などは、ぜひ見ておきたい作品です。
The original stretcher for Picasso’s “Guernica” has been rediscovered in MoMA storage https://t.co/wUyaeoB9M6 pic.twitter.com/w8FP9zzLdQ
— Museum of Modern Art (@MuseumModernArt) 2016年9月8日
MoMAにはピカソの他にも、ゴッホの『星月夜』、アンディ・ウォーホルの『キャンベル・スープ』、マティスの『ダンス』など有名作品がいっぱい。
これらの作品は4階・5階の常設フロアに展示されています。
館内にはレストラン・カフェ・ギフトショップもあるので、1日たっぷり楽しむことができますよ。